メディアビジネスの活路は「アジア」にあり

わたしは、リーマンショック直前の2007年に大学を卒業し、日本の民放テレビ局に入社しました。当時、テレビ局の社員は「面白い番組が作りたい」「報道を通じで社会に真実を伝えたい」という人ばかりで、「海外でメディアビジネスがしたい」などという動機をもってテレビ局に入る人はほぼ皆無でした。入社後、先輩社員に「中華圏で商売がしたいです」と熱弁して、「バカかお前は」「入る会社を間違っている」と一笑に付されたことは一度や二度ではありません。

もとより日本には市場規模約2兆円という巨大なテレビ広告市場があり、しかもそれは新規参入が一切なく、高い参入障壁でまもられた寡占市場です。テレビ局の人々は真剣にビジネスを考えず、「視聴率さえ良ければそれで良い」という意識が大勢を占めていました。

しかし、いまはもうそんな時代ではありません。多くの人が電波でなくインターネットを通じて映像コンテンツに触れています。大勢の人に一気に映像コンテンツを伝達するのは、もはやテレビの専売特許ではなくなりました。

そして総額6兆円といわれる日本の広告市場は、今後確実に縮小していきます。人口が減る以上、それだけ市場が縮小するのは当然と言えば当然です。今後、若い人が減り老人が増えていくとともに、6兆円の巨大市場が急激に縮小していくことは間違いありません。これはテレビ局のみならず、日本のすべての産業が直面する宿命です。

これまで多くの国内メディアが国内市場だけを注視し、海外市場と真剣に向き合って来ませんでした。また、広大なアジア市場を「違法コピーの蔓延するマイナー市場」としか認識していませんでした。

しかし、日本のメディアを取り巻く環境は大きく変貌しつつあります。国内市場が急速に縮小していく一方で、海外、特にアジアの消費市場は若くそして力強く、爆発的に拡大しています。そしてそこでは多くの人々が日本のコンテンツに親しんでいます。

テレビ局に限らず、日本のすべてのコンテンツ事業者にとって、アジアの消費市場は21世紀の日本コンテンツ産業が発展を続けるための唯一の道だと、わたしは考えます。

「ソフトパワー」が国力を決する時代

米クリントン政権下で国防次官補を務めたジョセフ・ナイは、その著書の中で、21世紀はソフトパワーの時代だと説きました。国家が軍事力や経済力などの対外的な強制力(ハードパワー)に頼らず、その国の有する文化や政治的価値観、政策の魅力などに対する支持や理解、共感を得ることにより、国際社会からの信頼や、発言力を獲得し得る力(ソフトパワー)ことが、その国の国力を決める、という意味です。

「ソフトパワー」は、映画やテレビ番組、漫画といったいわゆるエンタテインメント・コンテンツに限りません。歴史や伝統に裏打ちされた「文化」をも含みます。日本の魅力的なコンテンツは、日本のソフトパワーを飛躍的に高める可能性を秘めています。しかしアメリカや韓国など諸外国に比べ、その伝え方がつたないために、いまだ外国で十分に認知され、受け入れられているとは到底言えないのが現状です。

異なる文化を理解し合い、社員を育むことで成長する

多くの日本企業の海外拠点では、日本から派遣された現地語に不自由な日本人社員が最高決定権者であり、現地スタッフは限られた権限しか与えられないことが少なくありません。これでは現地に受け入れられることは容易ではありません。

当社は日本人が代表をつとめていますが、社員の比率では外国人の方が圧倒的に高い会社です。現場に権限を委譲し、代表ほか基幹社員は、現場社員のより良い仕事環境の充実に努めるサポート役に徹しています。「面白いことは全部やる。」挑戦しないで失敗もしないより、挑戦して失敗することを高く評価する、自由闊達な社風を大切にしています。

また、外国人スタッフに対して日本語学習支援は行いますが、日本人スタッフ全員に対しても中国語の学習を強く奨励し、高いレベルの中国語力を要求しています(わたしはいま台湾語と広東語を社員に教わっています笑)。

社内では日本人のほか台湾人や香港人のスタッフが、日本のさまざまな商品・サービスをどのように伝えれば受け入れられるか、自由闊達に議論しています。

当然のことながら、国が違えば習慣や考え方も違います。日本企業の「常識」を押しつけたところで、生産効率が上がるわけでも独創的なアイディアが生まれるわけでもありません。日本のやり方を強制するのではなく、それぞれの国の考えを理解し尊重して、お互いの良い部分を出し合い、足りないところを補い合いながら融合することが最も肝要だと考えています。

当社には優れた技術や特許もなければ、立派な施設があるわけでも、広大な工場があるわけでもありません。しかしながら「人」という財産は、どんな大きな会社にも負けてないと確信しております。小さな会社ではありますが、若く優秀で、高い志と廉恥の精神をもった社員が、さまざまな国から集い、育っています。

わたしたちは、人という宝を活かし、日本の文化を世界へ広げていきます。

日本とアジアの繁栄のために

メディアビジネスを通じて日本とアジアの発展に寄与する、これが当社のミッションです。

わたしは小学校の頃に阪神大震災を経験しました。そこで、絶望のなかで懸命に救助活動に従事する自衛隊員の姿を目の当たりにし、「社会のために尽くす」仕事として自衛官となることをこころざして、防衛大学校に入校しました。しかし日々勉強や訓練に勤しむ中で、上記のように軍事力(ハードパワー)よりも文化力(ソフトパワー)こそがわが国の発展に不可欠と思うに至り、1年間在学ののち自衛官の道を辞しました。

その後、一般大学を経て日本のテレビ局で働き今に至りますが、「社会のために尽くす」というこころざしは、これまで一貫して変わりません。

目先の利益に惑わされず、社会正義にもとる商売には絶対に関わらない。「三方良し」すなわち「売り手良し・買い手良し・世間良し」、加えて「働き手良し」の商いに一心に励み、ビジネスを通じて社会に貢献することを第一に考えています。

当社は、日本の文化をアジアへ輸出することを生業とする会社です。さまざまな国のスタッフが集まり、さまざまな国に向けて異なったアプローチをしています。日本とアジアをつなぐメディアプラットフォームを次々に創造し、日本の「伝えたい」を外国の「知りたい」に変換していくことで、日本とアジアを結んでまいります。

代表プロフィール

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代表取締役 吉田皓一

奈良県出身。防衛大学校を経て慶應義塾大学経済学部卒業後、朝日放送入社。総合ビジネス局にて3年に渡ってテレビCMの企画・セールスを担当したのち退職。2013年ジーリーメディアグループ創業。

大学在学中に独学で中国語を習得(漢語水平考試最高級所持)し、現在は東京と台北を往復しながら、台湾のテレビ・ラジオへの出演、書籍・コラム執筆等を通じて、日本の魅力の発信につとめています。

趣味

酒:特に日本酒が好きで、全国の酒蔵を巡っております。
飯:美味しいものを食べるのが大好きです。
テレビゲーム:コーエーの「信長の野望」「三国志」「提督の決断」シリーズなどシミュレーションゲームが好きです。

特技

アイロンがけ:防大時代に習得。靴磨きと合わせ、音速で仕上げられます。その辺のクリーニング屋より上手い自信があります。
宴会仕切り:テレビ局時代に習得。お客様の上着のお預りから余興、お土産、タクシーの配車まで細やかなおもてなしで、台湾のお客様にも大変ご好評いただいております。

代表メディア出演・インタビュー

サッポロビール 「陽岱鋼×吉田皓一 日台友好対談」 

東洋経済オンライン

アナザーライフ

朝日新聞全国版 「ひと」

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