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つね日頃、仕事で多くの人の謦咳に接しますが、一番多く頂戴するのが「なぜ台湾を選んだのですか?」という質問です。台湾で会社経営やタレント活動をしている日本人には「台湾が好きだから」という人が多いです。もちろんぼくは台湾大好きですが、それは起業して4年目の今になっての話であり、会社を作った当初は好きでも嫌いでもありませんでした。

じゃあきっかけは何なのかと言われますと、ぼくが台湾を選んだのは「勝負できる」と思ったからです。

 

東進ハイスクールの林修先生がよく「自分が勝てる場所を選べ!」とおっしゃいます。

林修先生自身、得意な数学ではなく現代文の教師を選ばれたは、東進の数学教師陣には超一流講師陣が集っていた一方で、現代文は数学ほど講師陣が充実していなかったからだとおっしゃっています。

もちろんぼく風情のペーペーが”勝った”なんて毛の先ほども思っていませんが、「勝てない勝負はしない」というのは、一貫してきました。言い方はカッコイイですがそれは言い換えれば、土俵を目の前にして、”敵前逃亡”してきた、とも言えます。ぼくはこれまでの人生において、本当に色んなところで、勝てないとわかった瞬間に男らしく勝負するでもなく挑戦するでもなく、尻尾を巻いて逃亡してまいりました。

 

例えば。

 

 

 

①英語じゃなくて中国語

思えば中国語を勉強し始めたのも、大学時代に、とてつもなく流暢な英語を操る帰国子女たちに完全に打ちのめされたからです。「優秀な学生は、みんな英語を勉強している。こんなに優秀で英語も流暢なヤツらと同じ土俵にあがっても埋没するし、一番になれない勝てない。しかし、中国語を勉強しているヤツは多くない。勝負できる!」と思うに至り、ぼくは逆張りで中国語を勉強するようになりました。

 

 

②商社じゃなくてテレビ局

就職活動に際しても、ぼくは逆張りをしました。中国語を使うなら、当然まず思いつくのは商社です。実際ぼくは商社の面接も受けました。鉄や石油、食品には興味がなかったので、当時唯一、面接の段階で入社後の部署を先決めできる”先決め採用”を実施しており、なおかつ伝統的に中国に強いと言われていた総合商社から内定をもらいました。相当悩んだ挙句にテレビ局に入社するのですが、ここでも決め手は逆張りの発想でした。「大手商社には中国語ができるスーパービジネスマンがいっぱいいる。勝てない。かたやテレビ局は制作志望や報道志望の人ばかりで、本気でビジネスをやろうとしている人は極めて少ない。ましてや加えて中国語ができる人なんかまずいない。勝負できる!」と考えたのです。実際に入社してみるとぼくのようにビジネスしたい&中国語できるという人は社内に一人もおらず、国内メディアの事を勉強しながら海外ビジネスを考えられる(尚且つ朝日放送は当時上海と台北に支局を置いていました!)という、絶好のフィールドをゲットできました。当時の先輩方には、感謝しかありません。

 

 

③中国じゃなくて台湾

さて、本稿の主題である「ぼくが台湾を選んだわけ」です。ぼくがテレビ局を辞めて起業の準備をしていた2010〜2012年あたりは、世間とくに経済メディアの注目は「中国」に集まっていました。「加熱する中国市場で勝つ!」「上海で活躍する日本人若手起業家」などがもてはやされ、ぼくも中国語を活かして、中国で起業しようと思いました。しかしそこでも勝負できるかが不安になります。「法律が朝令暮改」「コピー商品が正規品を淘汰する」「政治が全てを控制する」という社会主義市場経済の国で、ぼくのような若造が単騎駆けしたところで絶対に勝てないというのは明白だったのです。

一方、すこし目線を上海から南東に向けてみると、中国語圏でありながら、「台湾」という中国とは全く異なる市場がそこにはありました。台湾は当然ながら自由主義経済の一員であり、外資に対してもフェア、中国のように政治主導であらゆる物事のルールが劇的に書き換えられるというような事もありません。勝負できる!ここに至り、ぼくは勝負する土俵として台湾を選びました。

 

学生時代から今に至るまで「英語でなく中国語」「商社ではなくテレビ局」「中国ではなく台湾」と言うふうに、いくさ場からの敵前逃亡を繰り返し、まさに「三十六計逃げるに如かず」を地で行く半生を送ってまいりました。しかしいっぽうで、容易には模倣・追随されない立ち位置を模索してきたとも言えます。

ぼくなんか足元にも及びませんがこの発想は、林修先生が得意な数学ではなく、競争相手の少ない現代文の教師を選ばれたのと同じです。

孫子の兵法には「善く戦う者は、不敗の地に立ちて、敵の敗を失わざるなり。是の故に、勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて而る後に勝を求む」とあります。

いくさ上手の人はまず最初に絶対負けない土俵に立って、敵失を逃さない。だから勝てる軍隊はまず勝利を確定させてそれから戦争を始めるが、負ける軍隊はまず戦争を始めて、その後から勝利を追求しようとする(だから負ける)

上にも書きましたが、ぼくは「勝った」なんて思ったことは1mmたりとも、1秒たりともありません。まだまだ何も成し得ていませんし、試行錯誤の連続です。ただ、その土俵が勝負できるかどうかはいつも考えています。無用な争いを避けつつ、独特なポジションを堅持できる場所はどこか?と考えあぐねた結果、台湾を選びました。

 

もちろん今は、台湾が好きだからやっています。

  1. 松林諭一郎 より:

    お若いのに、素晴らしいです。

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プロフィール

代表取締役社長
吉田皓一
奈良県出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、朝日放送入社。テレビ営業部で3年勤務したのち退職し、ジーリーメディアグループ創業。東京・台湾・香港を往復しつつ、細々と事業を展開しております。趣味は酒と飯です。車・ゴルフ・時計等一切興味なし、ただひたすらに美酒と美食を求めて日本全国を巡っています。

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