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チマタでよく「爆買いの次は越境EC」みたいに言われるようになり、新聞や経済誌でも「越境EC」の文字をよく見るようになってきました。

実際、中国本土向けの越境ECは活況を呈しています。では台湾は香港も同様に日本のものがオンライン上でよく売れるかというと、そうシンプルではないようです。

なぜ、日本の商品が大好きなはずの台湾・香港で、越境ECが盛り上がらないのでしょうか。

 

理由1:日本の正規品が広く流通している。

台湾・香港はパチモン天国ではありません。地域内で日本製品を購入するときに、商品の真贋を疑う必要はありません。

 

理由2:訪日する比率が圧倒的に高い

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↑台湾・香港は全人口の1割~2割が訪日するという、世界一の「訪日上顧客」です。これだけ頻繁に訪日するという事は、わざわざ割高価格の越境ECで買わなくても自分で日本で買う、或いは友達に買ってきてもらう、そのほうが合理的だし安心だという事です。

 

理由3:普通に日本のAmazon、楽天を使っちゃう。

日本語学習熱が高い事もあり、日本の大手ECサイトを不便なく使えてしまいます。また、日本のAmazon・楽天の使い方・購入方法を詳しく記したブログ等もあり、わざわざ中国語の越境ECサイトを利用する理由がありません。

先日都内のとあるホテルの支配人とお話していましたら、台湾人のAmazonの箱がロビーに山積みになって困る、とおっしゃっていました。つまり

 

「旅マエに自分でamazon.jpで購入→配送先を宿泊先のホテルに指定し→来日時ホテルフロントで受け取り」

 

という事です。日本を熟知した人々ならではのお買い物スタイルだと言えます。

 

理由4:関税が高く、通関がめんどう

香港はそうでもないですが、台湾はとても関税が高い。アパレルで約20%程度、日本酒に至っては40%以上の高い関税がかけられます。また、通関がとても厳しく、成分表記などに厳格です。当社も台北でアンテナショップを運営してるので、通関はいつも泣かされています。たとえば成分表を指摘され「アミノ酸等」の「等」は何?全部言って?とか….泣。台湾に人気のはずのお菓子、化粧品や健康食品など口に入れる・肌に触れるものは、結構ハードルが高いです。

 

理由5:店舗にすぐアクセスできる

 

広大な中国本土との大きな違いです。香港のようなコンパクトシティでは、街を歩けばそこかしこに日本商品が販売されています。また台湾は「1人あたりのコンビニ数世界一」と言われており、いたるところにコンビニがあり、尚且つコンビニの提供サービスが日本と同様、荷物受け取りからチケット受取、クリーニング手配まで多様化しています。

 

では、勝機は全くないのか?決してそうとは思いません。
<売れるモノ>

限定モノ:上述のように台湾香港は日本のものが沢山流通しています。ですから逆に「日本限定」、日本でしか買えないと言われると、財布の紐は緩みます。

 

消えモノ:業界用語です。いわゆる消耗品です。日本で買って「これ良いワ、また買いたいワ」となったらしめたもの。例えば化粧品、粉ミルク、サプリ等。

 

高くても買いたいモノ:経済学でいう「価格弾力性」の低い商品です。どこでも買える日用品などの消費財は、価格が上がると需要は著しく低下します。いっぽう高くても買いたいモノ、つまりアニメフィギュアみたいなホビー商品、或いは江戸切子・南部鉄瓶など贅沢品・嗜好品は、消費者が高くても買いたいと思う商品です。

 

以上のように、台湾・香港は中国本土とは状況が大きく異なりますので、それぞれの市場に合わせた戦略を策定せねばなりません。

 

 

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プロフィール

代表取締役社長
吉田皓一
奈良県出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、朝日放送入社。テレビ営業部で3年勤務したのち退職し、ジーリーメディアグループ創業。東京・台湾・香港を往復しつつ、細々と事業を展開しております。趣味は酒と飯です。車・ゴルフ・時計等一切興味なし、ただひたすらに美酒と美食を求めて日本全国を巡っています。

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