台北に来ております。現在台湾では野球のアジアチャンピオンシップの練習試合が行われており、昨日は日本のロッテが、台湾の桃園国際野球場で、台湾代表と練習試合を行いました。日本からも、ロッテをはじめ多くのプロ野球関係者が訪台されております。アジアチャンピオンシップ本番は、11月16日から東京ドームで行われ、侍ジャパンとの対戦も予定されています。

 

台湾野球の概要

台湾プロ野球の正式名称は、中華職業棒球大聯盟(Chinese Professional Baseball League)、略してCPBLと言います。もともとCPBLのほかにもうひとつ、台湾職業棒球大聯盟(TML)という別のリーグがあったのですが、2003年にCPBLが吸収合併し、1リーグ制になりました。現在加盟球団は4つ、2リーグ12球団の日本プロ野球(NPB)より、かなり規模は小さいものです。シーズンは前後期に分かれており、年間120試合(40回総当たり)、前・後期各60試合ずつ(同20回総当たり)となっております。

 

 

八百長問題からの再スタート

 

台湾プロ野球は、過去数回にわたり八百長問題が明るみになりました。特に大きかったのが、2009年に発覚した大規模な八百長です。八百長に関わった野球関係者が10名以上に登り、元阪神投手で当時兄弟エレファンツの投手コーチだった中込伸氏も、一時身柄を拘束されるなど、社会問題化しました。これを機に台湾野球の人気は失墜しました。しかし2013年のWBCで台湾代表が大活躍すると、野球人気が再燃します。東京ドームの日本ー台湾戦で、最後の最後まで日本を追い詰めた名試合は、もはや伝説です。

 

当日スタンドでは日本の野球ファンが、3.11の震災で多額の支援をしてくれた台湾への感謝の意を表す「謝謝台湾」「台日友好」のプラカードがあちこちにかかげ、国際試合とは思えない、とても温かな雰囲気につつまれました。

↑胸熱。

 

↑鳥谷の神盗塁と井端の神同点打!!!日本はすんでのところで薄氷の勝利、逆に台湾は勝利まであと1アウトまで迫りながら、残念ながら敗れてしまいました。

↑井端の土壇場同点タイムリーの瞬間、リアクションがデカすぎる台湾野球ファン。

 

ちなみにこの試合は日本でも盛り上がりましたが、台湾での盛り上がりはまさに異常でした。ふつう、台湾のテレビは、チャンネル数が100以上あることもあり、平均視聴率は0.3〜0.6くらいなのですが、日本−台湾戦のスポーツチャンネルの平均視聴率は15.47%、最高視聴率は前代未聞の21.54%、とんでもない数字を叩き出しました。他のチャンネルも合わせると、全台湾人口の半分がこの試合を観た、と言われています。

 

 

 

台湾野球の現状①相次ぐ身売り

 

近年では球団の経営難から、球団を売却するケースが少なくありません。2013年には、兄弟大飯店(ブラザーホテル、飲茶が美味い)が、所有する兄弟エレファンツをネーミングライツの形式で、中国信託商業銀行に売却。中国信託銀は、日本でも東京スター銀行を買収、台湾国内でもバンバン広告を打つ、ノリにノってる企業です。この買収により、球団名は「中信兄弟」に変わりました。

 

また、台中の大手化学薬品メーカー「興農集団」が保有していた興農牛(シンノン・ブルズ) は2012年に身売り、新たに「義聯集団」が買収し、義大犀牛(イーダー・ライノズ)となりました。「義聯集団」は高雄の一大企業、鉄鋼などの生産から医療、教育など、幅広い事業を展開しています。2013年には、メジャー通算555本塁打のバリバリのメジャーリーガー(だけどドーピングでMLBを半ば追放)のマニー・ラミレスが入団し、観客動員に大きく貢献しました。しかし、このライノズもわずか数年で身売り、2016年11月に、大手金融の富邦金融控股(フーバン・ホールディングス)が買収し、富邦悍将(フーバン・ガーディアンズ)と改名しました。売却額は日本円でわずか12億円程度と言われています(やっす)

本当に、コロコロと名前が変わるので、覚えるのも一苦労です。

 

 

台湾野球の現状②安い年俸

 

日本では1年1シーズンですので、選手の報酬は「年棒」で契約される事が一般的ですが、台湾の場合は2シーズンですので「月薪(月棒)」で表記される事が多いです。台湾のCPBLは日本のNPBに比べて圧倒的に給料が安く、一流選手でも月棒100万円前後というのが現状です。上述の八百長の背景には、この低い年収水準があるとも言えます。いっぽうで日本やMLBで活躍すれば、年俸は数十倍、ヘタしたらそれ以上です。例えば現在日本の読売巨人軍で活躍する台湾人選手・陽岱鋼は3億円の5年契約、まさにジャパニーズドリームと言えます。

 

 

台湾野球の現状③マーケティングに課題

 

台湾でよく読まれるビジネス誌「商業週刊」で、日本の北海道日本ハムファイターズの特集が組まれたことがありました。

 

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↑その名も「爆満精算学」!!!左下に「陽岱鋼の日ハム、如何にして1年で31億の消費を生み出すか?」とあります。個人的に、日ハムは日本のNPB球団の中で、最もアメリカのMLBに近く、スポーツマーケティングにおいて先進的な球団だと思います。実際、多くの球団職員さんが頻繁にアメリカのメジャーリーグや欧州のサッカーリーグを視察に訪れ、最先端のスポーツマーケティング手法を積極的に取り入れています。そこに学べ!という特集でした。

 

確かに台湾プロ野球のマーケティングはまだまだこれから、マーチャンダイジングやライツビジネス、地元に愛されるための施策は日本に遅れを取っています。私自身、日本のスタジアムを訪れた台湾人野球ファンが、球場のDJ・VJの演出や豊富なグルメ、魅力的なノベルティ等、総合的エンタテインメント性に満足した、という話はよく聞きます。逆に、この分野はまだまだこれから、チャンスが大きいと思います。

 

 

台湾野球の現状④打高投低

プレイスタイルに関して言うと、一般的にCPBLは「打高投底」と言われます。パワーヒッターが振り回す傾向が強く、日本の緻密な野球に比べ、荒削りな部分がまだまだ多いと言われます。実際プレーの粗さはWBCなど国際試合でも見られ(台湾の人ゴメンナサイ)、今年のWBCで台湾代表は、次回大会は本大会前年に行われる予選を勝ち抜かねばならなくなりました。

 

 

注目選手

 

最後に、来週のアジアチャンピオンシップに向けて、注目の台湾人選手を紹介します!

 

現在、日本で最も有名なNPBの台湾人選手は、間違いなく陽岱鋼です。去年、日本ハムの日本一に大きく貢献し、今年ジャイアンツに移籍しました。今年は怪我の影響で開幕からしばらく欠場しましたが、依然一流のプレーヤーであることに変わりはありません。去年まで彼が所属した北海道日本ハムファイターズでは、彼の観戦ツアーが多く組まれ、非常に多くの台湾人観光客が、札幌ドームに足を運びました。

 

日本人がMLBへイチローやダルビッシュの試合を見に行く感覚かもしれません。

 

そんな陽岱鋼と、対談したことがあるそれがし(自慢)→ http://www.sapporobeer.jp/area/hokkaido/likers/yo/

 

もう一人、注目の選手が王柏融です。CPBLにおいて2季連続で打率4割、今季は31本塁打という強打者です。まだ23歳、現時点で間違いなくCPBL最高の選手だと言えます。WBCの日本戦では3打数3安打、特に楽天則本からバックスクリーンへ放った本塁打には、打たれた則本も「あの外スラをホームランされたのは初めて」と語ったとか。

 

 

先ほど、台湾野球では一流選手でも月収100万円程度と書きましたが、王柏融の月収は約200万円!!!名実ともに、台湾のトップスターです。

 

こっちのスポーツ新聞によると、王柏融はアメリカのメジャーより日本のプロ野球への移籍志向が強いとのことで、来年シーズンオフには、日本へ移籍する見込みとか。最有力視されるのは阪神、そして王貞治さんのいるソフトバンク、台湾にパイプの太いロッテだそうです(個人的に日ハム入団熱望!!!)。

 

 

王柏融が日本の一軍で活躍すれば、球場に訪れるファンが増えること間違いなし!1年でも早く、MPBに来て欲しいものです。

 

アジアチャンピオンシップは今月16日から、日本−台湾戦は18日です!みんなで東京ドーム行きましょう!!!

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プロフィール

代表取締役社長
吉田皓一
奈良県出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、朝日放送入社。テレビ営業部で3年勤務したのち退職し、ジーリーメディアグループ創業。東京・台湾・香港を往復しつつ、細々と事業を展開しております。趣味は酒と飯です。車・ゴルフ・時計等一切興味なし、ただひたすらに美酒と美食を求めて日本全国を巡っています。

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