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いい大人が漫画を読んでいる光景に眉をひそめる人は、今でも少なくありません。しかし私は個人的には、漫画は大人になっても様々な気づきを与えてくれる、一般書籍に何ら遜色ない存在だと思っています。

 

当社では、会社のiPadに漫画アプリをダウンロードし、社員に読んで欲しい漫画を入れて、休憩時間などに読んでもらっています。きょうはそのアプリの中にある、私が思うおすすめ漫画Best 5を紹介したいと思います。ネタバレしないように気をつけますが、もしかしたらチョロっと漏れるかもしれませんので、あらかじめご了承ください。また、あくまで以下は「おすすめ」だけで、社員の皆様に「読め」と言う事はまったくございません。

 

5位 空母いぶき

 

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いきなりミリオタ全開でスンマセン…..。でも、本作は本当に現代日本人が刮目して読むべき作品です。

 

本作は、尖閣諸島を巡り、日中が衝突するというフィクション。これがもし「日本と中国が全面戦争」というシナリオであれば、完全に荒唐無稽なファンタジーですが、島嶼部を巡って小競り合いが起こるというのは、今やあながちありえない話ではなくなりました。よく訓練された中国の工作員が漁民を装い、尖閣諸島の魚釣島に漂着して、海上保安庁の保護を拒む、というシナリオは、実際に安全保障上想定されうるシチュエーションでもあります。

 

よく言われますが、東アジアの地図を逆さまにすると、北京から見て如何に日本列島が邪魔な場所にあるかがよくわかります。

 

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中国からすれば、太平洋に出る手前に日本列島がデーンとあって、日本列島と台湾の間には、強力なアメリカ軍が駐屯する沖縄がある。邪魔でしかないわけです。これまでは、中国とアメリカとの間に大きな戦力差があったため、在日米軍によって力の均衡が保たれていました。しかし、今や中国は優秀な軍用機を国産し、それを運用する空母を持ち、その空母を護衛する駆逐艦や潜水艦の性能も飛躍的に向上しています。もし、アメリカが東アジアへの積極的に介入しなくなれば、これまで均衡していたパワーバランスが崩れることは、想定されるシチュエーションです。

 

その時日本はどうするのか?半世紀以上の平和を享受して来た日本人に、自らの血で国土を守る覚悟があるのか?を問いかける作品です。

 

第4位 海賊と呼ばれた男

 

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百田尚樹さんのベストセラー小説が漫画化。出光興産創業者・出光佐三を描いた名作です。小説も映画も良かったけど、漫画もイイ。私がこの漫画を社員に読んで欲しいのは、戦争で国土が焼け野原になり、海外の権益を全て喪失し、何より多くの優秀な若者を失った日本が、どうやってわずか数十年のうちに世界屈指の経済大国として復活を遂げたか、そのために我々の祖父母の世代がどれだけの、火のような努力と練磨したかを知って欲しいからです。

戦後の日本では、新幹線をつくるために、東京タワーを建てるために、黒部ダムを建設するために、多くの日本人が血の出る思いで努力をしてきました。いまの日本の繁栄の礎には、間違いなく先代の努力があります。しかし「働き方改革」が叫ばれる昨今、NHKの「プロジェクトX」ですら「ブラック企業礼賛番組」と揶揄されます。十分に成熟しきった現代の日本では、もはやそのような働き方は、受け入れられないのです。

 

出光佐三は、敗戦によって海外の油田権益や商船など全てを失ったあと、全社員を集めました。大量解雇を覚悟していた社員に対し、出光佐三が「社員は家族、1人の馘首(クビ)もならん!」と宣言するシーンは圧巻です。しかし今の時代に社長が「社員は家族!」とか言ったら、間違いなく「気持ち悪い」「そういう重いのムリ」「ブラック企業の言い訳」とか言われてしまいます(笑)

 

イチ経営者としてこの漫画を読むと、血湧き肉躍ったりするのですが、もうそういう時代ではないのは、言うまでもありません。 

 

日本では、死に物狂いで働く、なんて時代はもうとっくに終わりました。しかし中国や韓国をはじめアジア諸国では、多くの勤勉な人々が、昔の日本のように、昨日より今日、今日より明日の生活が良くなると信じ、ものすごい努力をしています。そんな中で我々日本人は、本当にこのままでいいのか?それで将来、良い国・良い社会が実現できるのか?ということを、この漫画を通じて考えてみて欲しいです。(繰り返しますが、ブラック礼賛ではございません!)

 

 

 

第3位 もやしもん

 

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某農業大学を舞台にし、菌やウィルスの世界をコミカルに描いた名作。菌やウイルスが肉眼で見え、指で掴んだり会話したりすることも出来るという不思議な能力を持つ主人公が、さまざまな騒動に巻き込まれていくと言うストーリーです。

 

私がこの漫画を勧めたい理由は「知識の雑食」です。経済活動における「イノベーション」の重要性を初めて説いたのは経済学者のシュンペーターですが、シュンペーターの有名な言葉には「新結合」というのもあります。つまり、イノベーションとは、生産要素(資本財とか労働力とか土地とか)の結合の仕方によって生まれる、とシュンペーターは言いました。また、ゲーム&ウオッチやゲームボーイなどの生みの親、任天堂の天才クリエイター・横井軍平の言葉に「枯れた技術の水平思考」というのがあります。つまり、既に使い古された既存の技術を、それまでと異なる使い方をし、全く新しい商品を生み出す、と言う事です。私自身も子供の頃に魅了されたゲームボーイは、使い古された「液晶」という技術と、「ファミコン」という技術が結合された、画期的な商品でした。

 

何が言いたいのかと言うと、革新的な商品・サービスというのは、別に一握りの天才の天才的発明によってのみ生まれるのではなく、既にある知識と知識の結合によって生まれるのだという事です。そのためには、結合させる知識の質もさることながら、量が重要になると私は思っています。知識の量が多ければ多いほど、結合させる組み合わせの量も増えるからです。そのためには、「知識の雑食」が必要になります。

 

大人になると、それぞれの専門性を深めていくため、どうしても知識に偏り、いわば「偏食」が出て来ます。そこで、自分の仕事とは全く関わりのない分野を勉強するのは、イノベーションにとってとても効果的です。当社はデジタルマーケティングの会社ですが、だからこそ仕事には全く関係のない細菌やウィルスの世界を楽しく学び、他分野の知識を雑食して欲しいと願っています。

 

また、私が大の日本酒好きで、麹や酵母の勉強にハマっているというのも、少しあります笑(本当に少しだけ)

 

第2位 センゴク外伝 桶狭間戦記

 

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戦国大名・今川義元を描いた作品です。今川義元といえば、駿河の名門に生まれ、大軍を擁して尾張の小大名だった織田信長を攻めた際、油断をしたために桶狭間で信長に討たれた愚将、という風に描かれてきました。

 

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↑めちゃめちゃバカにしてるデフォルメ。ボンボン、お歯黒、でぶ、能天気という設定が多い。

 

しかし近年再評価が進み、領地での卓越した治世、有能な家臣を多く擁した育成力、北条や武田と絶妙な同盟関係を構築した外交力など、実は今川義元は非常に有能な武将だったという声も多く聞くようになりました。信長は、一か八かの超ハイリスクな勝負に出て、たまたま悪天候などの幸運を得て勝つことができたというのは、今や定説です。

 

私がこの漫画を勧めたい理由は、歴史を学ぶ楽しみを知り、そして敗者の側から歴史を見るという視点を持てるからです。

 

「愚者は経験に学び、賢者は歴史から学ぶ」と言ったのはドイツの宰相ビスマルクですが、歴史は人類が紡いできた「過去問」です。大学受験でもTOEICでも、みんな試験前には過去問をチェックするはずです。歴史には、人類が成し遂げた偉業も、犯した失敗も全部入っています。それを学ばないで生きるのは、過去問も解かずに本番に臨むのと同じです。

 

私はよく「日本人は横に考える、中国人は縦に考える」と言っています。日本では、何か課題を解決するときに「いま欧米ではどういう説があるか?どうやっているか?」という風に、横に考える傾向があります。いっぽう中国では欧米がどうであろうとヨソはヨソ、それよりも「過去には我が国でどういう事があって、どうやって解決したか?」を考える傾向にあると思います。例えば、中国に麻薬を持ち込めば死刑ですが、それは中国が過去に、アヘン戦争で国土を蹂躙されているからです。諸外国が何と言おうと、過去の自国の事実に鑑み、厳罰に処しています。また、中国政府が宗教に対して厳しい態度で臨むのも、中国では黄巾党の乱や太平天国の乱など、時の王朝が宗教によって滅ぼされたから、という見方もできます。中国ほどでなくとも、日本にも悠久の歴史があるのですから、目の前の課題を解決する際に、「過去問」をレビューする事は、とても大切な事です。

 

また、歴史というのは常に勝者の側から語られますから、立場を逆転して考える事で、より客観的な物の見方をして欲しいと思っています。

 

第1位 へうげもの

 

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記念すべき第1位は、血で血を洗う戦国時代を、茶の湯と茶器という「アート」によって生き抜いた、古田織部(おりべ)を描いた作品です。武人でありながら数寄者(すきもの、茶の湯や茶道具が好き過ぎてたまらない人)の一面を持ち、手柄を立てて出世を夢見つつも、文化や芸能への並々ならぬ情熱を燃やす古田織部が、信長、秀吉、家康と主君を変えながら、自ら理想の茶器である織部焼を完成させていくストーリーです。

 

私がこの漫画を勧めたい理由は、「アート」の面白さ、素晴らしさ、そして大切さを知ることができるからです。

 

古田織部は、はじめ千利休に師事し、茶の湯への理解を深めていきます。同時に茶器の収集に異常な執念を燃やすのですが、理想の茶器に出会ったときに、その茶器を「ズドギュッ」・「ガニッ」・「はにゃあ」・「ホヒョン」などと独特なオノマトペで評するのが、何とも五感に訴えてくる感じでユニークです。古田織部は、戦国の世にありながら、アートによって時の主君に認められた稀有な武将です。

 

なぜアートなのか?

 

 

 

近い将来、Aiの普及とともに、我々は多くの作業から自由になります。反復できることや普遍化できるあらゆる作業を、人工知能が代行してくれます。昨今、雑誌などで「Aiによって必要なくなる職業ランキング」といった記事がありますが、ポジティブに考えれば、Aiによって、人間は感性に特化できるようになるとも言えます。

 

 

くしくも去年、山口周先生の「世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか」という本が、ベストセラーになりました。日本人はデータや論理を非常に重視しますが、科学的アプローチに偏重すると、誰がやっても同じ物ができます。ゆえにデータや論理に基づいてつくられた商品サービスは、コモディティ化(均質化)していて、消費者を魅了する事はできない。そこには人の感性に訴えかける、アートの要素がとても重要だと、同著は訴えます。

まったくその通りだと思います。

 

私は10年以上前からiPhoneを使っていますが、最初にiPhoneを持った時、周囲から怪訝な顔で見られました。「どうしてそんなに使いづらくて、値段もバカみたいに高くて、電池も持たない変な電話を使ってるの?」何度聞かれたか分かりません。あの時、日本の携帯電話メーカーは、「パカパカしやすい」「スライド式」「充電長持ち」などのマーケティングデータに基づいて、商品開発をしていたと思います。結果、それらは全て一層され、今では老若男女誰もが、スマホを持つようになりました。スティーブ・ジョブズがマーケティング嫌いで「市場調査なんかクソ食らえだ」と言っていたのは有名な話ですが、エポック・メイキングな商品はデータや論理的思考だけでは生まれないし、今後あらゆるデータが集積されるにつれ、その傾向はもっと強くと思います。

 

 

感性を磨くためにアートに親しみ、美意識を磨く。「アート」というと何だか敷居が高そうでとっつきにくいものですが、シンプルにそれが綺麗とかカッコいいとか、何かしら自分の心に感じるものがあれば、それで良いと思います。気軽にアートに慣れ親しむうえで、アートへの並々ならぬ情熱を燃やした古田織部の生き様は、とても示唆に富んでいます。

 

以上、それがしがおすすめ漫画Best5でした。ネタバレあったらすいません。

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プロフィール

代表取締役社長
吉田皓一
奈良県出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、朝日放送入社。テレビ営業部で3年勤務したのち退職し、ジーリーメディアグループ創業。東京・台湾・香港を往復しつつ、細々と事業を展開しております。趣味は酒と飯です。車・ゴルフ・時計等一切興味なし、ただひたすらに美酒と美食を求めて日本全国を巡っています。

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