先日、外資系戦略コンサルティング会社を渡り歩いてきたバリバリコンサルの大学同級生が「外資系企業には結構ポンコツが多い」という話をしていました。もちろん超優秀な方もたくさんいらっしゃるのですが、ひとつの結論としては、外資系には英語屋、すなわち英語が喋れるだけで採用されている人が少なからずいる、という認識に至ったそうです。そしてそういう英語が達者な人たちは、得てして日本語の運用能力の低い人が多いとも。

 

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彼女曰く

 

「この資料は俺のイメージと違う。」
→言語化偏差値40。何をゴールとして、現時点で何がわかっていて、何がわかっていないのかが自分で理解できていない。

(プロジェクトで問題が起きたとき)「炎上してしまった」
→何が原因かわかってない。あげく自分が悪いのではなく、環境が悪いと思ってる。これも偏差値40。

(デザインに対して)「わかんないけど良いと思う。」
→感じる細かい違和感を表現できない。で、後になって、全部ひっくり返す。

 

↑めっちゃあるある過ぎて笑いました。英語どうこうより、情報を言語化するスキルがないとこうなります。自分の伝えたい事を上手く言語化できない、つまり国語力の問題です。

 

ホリエモンも言ってましたけど、日本に住んでて仕事上英語が必要な人なんて、日本全体でほんのわずか。日本で働く以上、英語がしゃべれなくて損する事よりも、日本語が下手で損する事の方が圧倒的に多いと言えます。

 

どんなにテクノロジーが進歩しても、ビジネスは人と人がやることという事実は変わりません。そして人と人がやる以上、言葉こそが唯一最大の武器と言って過言ではありません。当然のことですが日本人が日本でビジネスするなら、英語がペラペラしゃべれる人よりも、正確で豊かな表現の日本語を自在に運用できる人の方が、圧倒的に有利です。

 

またビジネスにおける言語化は、ロジカルに自分の考えを伝えれば良い、というわけではありません。ビジネスの現場では、ロジックと同時にアート、つまり「美意識」が求められます。すなわち「美しい日本語」ということです。左脳の働きによって相手に対し論理的に説明すると同時に、右脳の働きによって相手の完成に訴えかける事が大切です。断言できますが、良い歳して常用漢字を頻繁に読み間違えてたり、尊敬語と謙譲語と丁寧語の誤用を乱発している人は、かなり高確率で仕事ができません。なぜなら、古今東西あらゆるビジネスは、人の心を動かす事が最も重要であり、アホみたいな言葉遣いをしているやつに、人の心を動かすことはできないからです。

 

敬語ひとつとっても、美しさが顕れます。

 

「○○に来られる」と「○○においでになる」

「食べられてください」と「召し上がってください」

「先に休まれてください」と「先にお休みになってください」

「もう見られましたか?」と「もうご覧になりましたか?」

 

言葉としての美しさが格段に違います。

 

もちろん言葉というのは時代とともに変化するので、誤用に目くじらを立てたいのではありません。ひとえにその言葉が美しいか美しくないかという、美意識の問題です。一流の人は、ビジネスシーンで美しくない日本語を見聞きした瞬間「この人は教養も美意識もない人だ」と気づき、心を閉ざします。

 

語彙の量も一流ビジネスパーソンには必須です。例えば若い人は何かイヤなことがあると「マジでムカつく」を乱発しますが、「ムカつく」だけで自分の思いを十分に伝えられるでしょうか。ムカつく、すなわち腹立たしいの類語には、憤ろしい ・ 苛苛しい ・ 忌忌しい等等、さまざまな表現があります。或いはもっと強烈に、憤死せんばかりにムカついているのを表現するなら、「怒髪天を突く(怒りで髪が逆立って空を突くほどだ)」とか「俱に天を戴かず(相手を殺すか自分が殺されるか、どっちかだ)」(←さすがに表現として行き過ぎかw)などもあります。

 

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↑読めますか?(笑)

 

語彙の引き出しを圧倒的に増やし、必要な場面で瞬時に脳内の引き出しから、適切な単語をパッと出す、これはビジネスをする上で最も重要なスキルの一つです。

 

これら日本語の「美意識」は、ロジック(論理)ではなくアート(芸術)の領域です。現代の日本人はロジックばかり気にする傾向がありますが、人の心を動かす上で、アートはロジックと同じかそれ以上の力があります。

 

さて、一流の国語を鍛えるにはどうすれば良いのでしょうか。まずは何を差し置いても本を読む事です。いま読まれているベストセラーも良いですが、特に何十年も読まれている名著を多く読むべき。時代を超えて読まれている作品には、日本語が非常に精巧に運用されています。そしていまひとつ参考になるのは落語。落語は本当に言葉の選び方・テンポといった運用方法を極限まで突き詰めた妙技です。言葉を武器にするビジネスパーソンは、落語に学ぶところ大と言えます。アートという意味では、漫才も効果的。笑いとはまさに人の心を動かす事です。漫才には人の心を動かせる日本語が溢れています。私はたまにルミネtheよしもとにふらっと漫才を観に行くのですが、思わず「上手いこと言うなぁ!」と唸る瞬間が多々あります。

 

私もふだん仕事上で複数言語を使用しますが、まず美しい日本語を話す事を、何より注意しています。日本人が日本で商売する以上、美しく教養ある日本語が話せて初めて、外国語が活きると言えます。

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プロフィール

代表取締役社長
吉田皓一
奈良県出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、朝日放送入社。テレビ営業部で3年勤務したのち退職し、ジーリーメディアグループ創業。東京・台湾・香港を往復しつつ、細々と事業を展開しております。趣味は酒と飯です。車・ゴルフ・時計等一切興味なし、ただひたすらに美酒と美食を求めて日本全国を巡っています。

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