中国の最高指導者は誰か

 

日本のメディアでは、中国のリーダー(最高領導人)である習近平氏の肩書きは「主席」或いは「国家主席」ですが、中華人民共和国において「国家主席」とは、実は必ずしも最高指導者を示す肩書きではありません。

 

Endo191226_Abe-thumb-720xauto-179107

画像出典:newsweek

 

中国の国家主席は英語では「President」と訳され、対外的には国家を代表するトップである事に違いはないのですが、過去には最高指導者ではない人物が主席を務めたり、或いは文化大革命の時代には国家主席のポストが廃止されている時期もありました。

 

一般的に近年の中国の最高指導者は、

 

①共産党中央委員会総書記:中国共産党を指導

②国家主席:中華人民共和国を代表

③中央軍事委員会主席:人民解放軍を指導

 

この3つのポスト全てを兼務することが慣例となっています。ただ、この慣例の歴史は意外と浅く、90年代の江沢民から始まって、胡錦濤、そして現在の習近平でまだ三人目です。それまでは別々の人物がそれぞれのポストを務めたり、上述のように廃止されている時期もありました。

 

中国で一番”偉い”ポスト?

 

さて、表題について結論を先に言うと、中国で一番偉い…..より正確に言うと最も大きな権力を握るポストは、国家主席でも総書記でもなく、ズバリ「中央軍事委員会主席」です。

歴代、そのポストを務めた人物を列挙してみると、一目瞭然。

 

毛沢東 (1954年9月26日 – 1976年9月9日)
華国鋒 (1976年10月7日 – 1981年6月29日)
鄧小平 (1981年6月29日 – 1989年11月9日)
江沢民 (1989年11月9日 – 2004年9月19日)
胡錦濤 (2004年9月19日 – 2012年11月15日)
習近平 (2012年11月15日 – )

 

まさに権力の頂点を極めた人物ばかり。中でも注目すべきは鄧小平です。

 

Deng_Xiaoping_and_Jimmy_Carter_at_the_arrival_ceremony_for_the_Vice_Premier_of_China._-_NARA_-_183157-restored(cropped)

画像出典:Wikipedia

 

長らく最高指導者の地位にあった鄧小平は、総書記や国家主席を務めた事はありません。にもかかわらず権力を掌握し、最高指導者でありつづけた由縁は、人民解放軍をコントロールできたからに他なりません。

 

また、毛沢東は大躍進政策の失敗の責めを負った際にも、国家主席の座は劉少奇に譲りましたが、中央軍事委員会主席には留まりました。更にもう一例あげるなら、共産党第3世代の頂点を極めた江沢民です。次の第4世代である胡錦濤が国家主席と総書記に就いたあとも、江沢民は、中央軍事委員会主席の座を最後まで譲りませんでした。

 

中国における権力の源泉は、いまも軍隊であり続けています。

 

人民解放軍は、共産党の軍隊である

 

人民解放軍は「シビリアンコントロールではなく、パーティー(党)コントロールである」とよく言われます。その由縁は、中国の国防法にあります。

 

中国の国防法では、

 

第十九条 中華人民共和国の武装力量は中国共産党の指導を受ける。武装力量の中の中国共産党組織は中国共産党規約に従って活動を行う。(第十九条 中华人民共和国的武装力量受中国共产党领导。武装力量中的中国共产党组织依照中国共产党章程进行活动。)

 

とあります。

1280px-China_Emblem_PLA.svg

↑人民解放軍の軍旗や帽章にある「八・一」は、、1927年8月1日に中国共産党が江西省南昌で起こした「南昌起義」という武装蜂起を記念しております。(画像出典:Wikipedia)

 

中国においては軍人は非常に権限も大きく、また日本の自衛官も近年は災害救助などでの活躍があり、大いに尊敬を集める職業になりましたが、中国における軍人はそれ以上に社会的地位の高い職業だと言えます(もちろん階級によりますが)。

 

中国における「総理」とは?

 

日本では総理と言うと内閣総理大臣、すなわち日本の行政府の長を意味しますが、中国の総理(ゾン リー)は少し、というよりかなり意味や職掌が変わってきます。中国では行政府つまり日本の内閣のことを「国務院」と言い、その長が総理と呼ばれます。そしてこの国務院総理は、国家主席が指名できると憲法で定められ、中国共産党序列2位の人物が務める慣例となっています。

 

中国において、歴代の国家主席と国務院総理は、二人三脚で国家運営を進めてきました。一般的に国防や外交そして国家の最終意思決定を国家主席が、経済を始め幅広い内政全般を総理が務めます。毛沢東に周恩来、江沢民に朱鎔基、胡錦濤に温家宝、そして現在の習近平に李克強といったように、強烈なリーダーシップで国家を指導する国家主席のかたわらで、しっかりと内政を固める女房役、ナンバーツーが総理といって良いかと思います。

 

Xi_jinping_and_Li_keqiang

↑現在も続く習李体制(画像出典:wikipedia)

 

これまで国家主席は2期までとされていましたが、2018年に全人代は国家主席の任期制限を撤廃する憲法改正を承認しました。これにより、習近平氏が長期にわたって国家主席の座にとどまることが可能になります。いっぽうで、第5世代である習近平・李克強の次の世代、すなわち第6世代とよばれる胡春華氏(国務院副総理)や陳敏爾氏(重慶市党委書記)も台頭しています。私はふだん台湾と関わることが多いですが、中国大陸の政治にも目が離せません。

 

コメント入力欄

メールアドレスが公開されることはありません。

*

プロフィール

代表取締役社長
吉田皓一
奈良県出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、朝日放送入社。テレビ営業部で3年勤務したのち退職し、ジーリーメディアグループ創業。東京・台湾・香港を往復しつつ、細々と事業を展開しております。趣味は酒と飯です。車・ゴルフ・時計等一切興味なし、ただひたすらに美酒と美食を求めて日本全国を巡っています。

Instagram